台湾中西部の彰化県に「田尾郷」と呼ばれる台湾随一の花木生産・販売地があります。
ここの花木の生産数・種類は台湾一を誇り、文字通り「花の故郷」と呼ばれるところです。
幹線道路の台一線に連なる何本かの道路に沿って
生産農家から直接卸売りをしている売り場・花木園芸園が数百軒以上も展開していて、
その周りを花木の農家、畑や圃場が取り囲んでおり、
あらゆるジャンルの花木(草花、植木、観葉植物、サボテン、盆栽etc)
さらには花器や鉢、土や園芸資材まで、なんでも揃います。
ここでは、卸売り価格で買えるため、元は花屋や造園業者が仕入れに来ていたところ、
一般客も買い付けに来るようになり、今では家族連れやカップルなど、ドライブがてらに
訪れる人気スポットとなっています。
このため観光客向けに、3,4人まで一緒に乗れ、買った鉢植えを積む荷台もついた
4輪自転車をレンタルする店、飲食店や宿屋も多くできて、週末には観光客で賑わって
道路が渋滞してしまうほどです。
この時期(3月)は、ちょうど台湾でも桜(濃いピンクの山桜)が咲く時期でもあり、
台湾では日本の花木も人気が出てきているようで、日本産の桜の苗や、藤、ツツジ、
キンモクセイ、梅などが売られていました。
特に桜は、「吉野桜」、「富士桜」、「昭和桜」などと大和名が付けられたものなど
多種多様でちょっとしたブームのようでしたが、台湾の暑い夏、暖かい冬を経ても
翌年に再び開花するかどうかはいささか疑問が残ります。
それから台湾では、思いのほか松が好まれているようで、こちらも日本産の黒松や五葉松、
赤松など、特に盆栽に仕立てられた鉢は手のひらサイズの小さなものから、10m以上も
ある大きなものまでたくさん売られています。
中には日本円にして4,50万円もするような株も少なくなく驚きました。
もちろん、日本では見られないような台湾独特の熱帯性植物もたくさん見ることができて、
目を愉しませてくれますので、ほんとうに見て歩くだけで一日があっという間に過ぎてしまいます。
また別の日に訪れた際は、途中からあいにくの大雨でしたが、
雨宿りを兼ねて田尾郷で話題となっている予約必須の大人気の庭園レストラン(菁芳園)へ、
雨の平日であったおかげで、予約なしでも入ることができました。
黄色や青、白の色とりどりの水連が咲く庭園の池に降り注ぐ雨が、
一層の雰囲気を醸し出していました。
池の中や周囲に生え、洋風な存在感を際立たせているヌマスギ(ラクウショウ:北米原産)は、
この庭園で採用されてから、一気に人気の火がついて、台湾のいろいろなところで
植えられるようになったとのことです。
雨の恩恵によって、いつになく空いているという店内で、
雨の幕に包まれた風雅な庭園を堪能しながら
ゆったりとランチタイムを愉しむことができました。