台湾は実は知る人ぞ知る「自転車の国」です。

日本でもご存知の方は多いと思いますが、スポーツサイクルで世界的にも有名な「GIANT(ジャイアント:捷安特)」、「MERIDA(メリダ:美利達)」は、実は台湾の自転車メーカーであり、しかもどちらも台中市の発祥なのです。

そんな背景があったことも一要だと思いますが、ここ数年来、台湾ではサイクリングが一大ブームとなり、週末に郊外へ自転車ツーリングに出かける人がどんどん増えてきました。
その影響もあって、台湾中でまずは郊外からサイクリング用道路が整備されていき、観光地にも巡るようになり、そして、台湾を一周するコースができてしまいました。
中でも「日月潭」湖畔を巡るコースは、台湾随一の景勝地に整備されたものとして最も有名です。

Taiwan Cycling Route Map

台湾を巡る”環島”のサイクリング・マップ

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郊外の自動車道に並行して作られた自転車専用レーン

日本の民放でも特集されていましたが、今では国内のみならず国外からも、この台湾を自転車で一周する「還島(ホァンタオ)」ツアーを目的に多くの観光客が訪れており、人気になってきているそうです。
どうやら「GIANT」社の創業者である劉会長が、2007年に73歳の高齢で自ら自転車で台湾を一周したことが注目を呼び、一躍ブームの火付けとなったようです。

この話を聞いた時にふと、劉会長とほぼ同年代の私の父も、その同じくらいの時期に「自転車で台湾を一周したい」と話していたことを思い出しました。
台湾人にとって、自分の足の力で台湾を一周することには特別な”ロマン”があるようです。
なんだか自分もいつか自転車で、あるいは徒歩かマラソンで一周してみたいな、と思いはじめてしまいました。

 

そんな台湾の都市部、台北や台中市などでも自転車ブームに乗ってなのか、ただでさえ狭くて建物がひしめき合い、車・バイクの駐停車などでギュウギュウのはずの市内部にまで自転車専用道路が整備されてきています。

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自転車専用レーンを作り中の道路(台北市内)

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さらには、世界的なシェアリング・エコノミーの時流に乗ってか、近頃では市内各所にシェア・サイクルのポートもたくさんみられるようになっています。
TaiwanCycle1  TaiwanCycle2

ICカードをかざせばすぐに自転車を利用でき、他のステーションまで乗って行けるというもので、
コンパクトな台湾の都市内部での移動には非常に便利でちょうど良い「足」となりそうです。
特に観光客にとっては、ちょい乗り、乗り捨てができるという点で、とても使い勝手が良いのではないかと思います。

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シェア・サイクルのステーションにあるICカード読み取り機

台湾は、こういった新しい行政サービスの実施と普及が、日本に比べるととても早いという印象があります。
それは、小さな島国で小回りが利くということも一つの理由だと思われますが、進取の気質が日本人にも増して強く、しかも思考が柔軟であるという面もあるように感じています(その一方で、南国らしくのんびりとしてアバウトな面も多々あるのですが・・・)。

日本でも数年前から都内における自転車専用道路への取組みが始められてはいるものの、ほとんど目立った進展がないと言ってもよい状態だと思います。
しかも、実際に設置された自転車レーンを走ってみて感じた問題点やお粗末さには、別稿で詳しく”ツッコミ”を入れるとして、
やはり都内ではまだまだ自転車で遠出するには不便で危険な状況のままだと感じます。
特に小さな子供と一緒に自転車で出かけるにはためらってしまうほど、安全面に対しては不満がいっぱいです。

この、隣の国の取組み事例をぜひとも参考にしながら、日本国内でももっと自転車を利用しやすい環境をどんどんスピーディーに整備してもらえるといいなあ、と思います。